冠詞の不思議 <the=特定>ではない?
皆さんこんにちは。今回は冠詞についてレクチャーしたいと思います。
ご存知のように冠詞にはaとtheしかないにもかかわらず、
いまだにどちらを使えばよいか迷ってしまう、という方がきっと多いことでしょう。
実はあまり知られていない基本的なルールを知ることで、
ずっと冠詞の判断は楽になります。
さて、今回はクイズ形式で説明していきたいと思いますが、次の文に入る適切な冠詞を考えてみてください。
1) Please turn down ( ) TV.
2) I bought ( ) TV yesterday.
さて、いかがですか?まず1)からですが、ここにはthe が入りますよね?
でも何故だか、理由を説明できるでしょうか。多くの方は、「特定のテレビだから」
とお答えになります。それは間違いではないのですが、じゃあ「特定」って何?
と尋ねられると、ちょっと答えにくいですよね。
考え方は、theは「話し手と聞き手の間に共通の理解があるもの」ということです。
この場合、例えば部屋の中でテレビの音がうるさいという状況があって、
話し手も聞き手もどのテレビがうるさいのかについて、「共通の理解」があるわけですね。
逆に言うと、共通の理解がないものにはaをつけることになります。
(※ちなみにTVは実は数えられない名詞で、aをつける場合はa TV setの略です。 )
それでは2)はどうでしょう。これはaを選んだ方が多いと思いますが、理由を説明できますか?
これも多くの方は、「買ったテレビが一台だから」と答えになります。
でも実は、theには数の概念がないので、一台でも、二台でもtheをつけることは可能なんですね。
やはりポイントは、「相手に共通の理解があるテレビかどうか」ということになります。
「昨日テレビを買ったんだ」というようなニュアンスであれば、
当然聞き手はどんなテレビを買ったのか知りませんから、
the TVと言うことはできません。そして「特定のテレビ」という言い方は実に曖昧で、
買った本人にしてみればすでに自分のテレビなのですから、特定のものになっていますよね?
もうお分かりのように、theを選ぶか、aを選ぶかは、自分にとって「特定」
かどうかではなく、あくまで聞き手と共通の理解がもてるかどうか、
がポイントなのです。
では2)の例文で、I bought the TV.と言った場合はどうでしょうか。
theを使う以上、相手も知っているテレビを買ったということになりますね?
ですから、このセリフを言う前に、「実は今度買おうと思って狙っているテレビがあるんだ・・・」という会話があったということになるわけです。
さあ、ここからが応用編ですよ!次の例文はどうでしょうか。
3) I bought ( ) TV advertised in the newspaper.
4) I bought ( ) TV you recommended the other day.
ヒントとして、それぞれの例文の訳をお教えしておくと・・・
3) 私は新聞で広告されていたテレビを買った。
4) 私はあなたが先日勧めてくれたテレビを買った。
さて、いかがでしょう。どちらもthe?さて、ここで“待った”です。
どちらも特定のテレビなのでtheを選んだという方が多いと思いますが、
3)の例文では、新聞で広告されていたテレビが一台であったとは限りませんし、
なにより聞き手はどんなテレビが広告されていたかを知らないわけです。
ですからここではaを入れることが望ましいんですね。一方、4)の例では、
「あなたが勧めてくれたテレビ」はすでに共通の理解があるテレビなのでthe TVといってOKです。
このように、一見すると特定のものであるように思われるのに実はたくさんあるものの一つであるということはよくあることです。次の例はどうでしょうか。
5) I couldn’t get ( ) ticket for tonight’s concert.
私は今夜のコンサートのチケットが手に入らなかった。
さて、「今夜のコンサートのチケット」だからtheだ!
というふうに考える方が圧倒的に多い問題ですが、実はa ticketが正解。
なぜなら、あるコンサートで、一枚しかチケットを発行しないなんて事はありえない
わけで、たくさん発行されたチケットの一枚が手に入らなかったに過ぎないからです。
the ticketと言ってしまうと、「今夜のコンサートの、さらにあなたも知っているように私が狙っていた最前列のAの5番のチケット」
という唯一のチケットを指す感じになってしまって変なんです。
我々日本人は、よくネイティヴ・スピーカーに「theを使いすぎる」
と怒られてしまうんですが、実は我々だって意味もなくtheを使っているわけでは
ありません。ちゃんと理由があって使っているわけで、どこで使うかというと、
3)や5)の例文で使ってしまうんです。ですから今後は、一見すると特定されて
いるようなものでも、よく考えると共通の理解がない場合がある、
ということを肝に銘じておきましょう!
ちなみに5)の例文で、私が今夜コンサートに行くということを知っていて、あえてfor tonight’s concertというフレーズを言わない場合は、
I couldn’t get the ticket.
でOKです。この文ではtheの中に共通の理解がある情報、つまり「例の(今夜のコンサートの)チケット」という意味がこめられているからです。
さて、いかがでしたか?
冠詞a、theには熟語的な表現も多いのは事実ですが、
「相手との共通の理解」ということをキーワードにして眺めると、意外にシンプルに見えてきますよ。
それではまた次回お会いしましょう!
★☆★編集後記★☆★
みなさんこんにちは、今回のメルマガは如何だったでしょうか?
曖昧だった冠詞のa とtheの使い方、違いはクリアになりましたか?
理論で分かっていても実際に使うときに間違っては意味がありません、
ので是非沢山英語を自分で話したり、英作文して実践の中で定着
させられるように沢山練習しましょうね!
それでは次回もお楽しみに!
発行元:トランスワールド・イングリッシュスクール
発行人:中川竜也
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